この記事は、ややネタバレを含みます。そういったことが気になる方はご注意ください。

失楽園は中学生くらいの頃に小説の上巻を読んで、「なんてえっちな小説なんだ……!」とドキドキした記憶があります。
なぜ下巻を読んでいないのかは不明ですが、不倫という背徳的な関係に溺れつつ女性への敬意あふれるエロチックな描写が印象深い作品でした。
さて、コレの劇場版ということでいつものごとく何の気なしにネットフリックスで配信されていたので見たところ
幼いころ覗き込んだ官能的な世界とはまた違う側面を感じましたのでメモとして記事にしたいと思います。

感想

黒木瞳さんがとにかくえっちでした。

恋愛に限らず、何かに没入する話ってある種の納得感が必要だと思うのですが、黒木瞳さんの凛とした美しさとベッドシーンでのエロさを観れば、誰しも「ああ、この女にならおぼれてしまうな」と思うのではないでしょうか。
失楽園で描かれる恋愛に堕ちていく「楷書の君」にまさにぴったりの女性ではないでしょうか。

実際当時のアンケートか何かで「演じてほしい役者」として断トツの一位だったとか。納得です。

映像作品としても非常に興味深く、どこか現実味のない映像が散りばめられており、中年のダブル不倫という生々しいネタを美しい作品へと押し上げているようでした。

二人の密会シーンを監視カメラで撮影したような表現は、見てはいけないものを見ているようなスリルを与えてくれる気がしました。
何よりも、不倫関係にある二人が白昼堂々手をつないだりキスをしたりとやらかしてくれるものですから、どんなに幸せそうに見えてもこちら側としてはハラハラしっぱなしなわけです。

劇場公開当時、男性客より女性の、しかも主婦層が団体で映画を見に行ったとかいう話もあながち嘘ではないかもしれません。

小説を初めて読んだときはあまり深く感じなかったのですが、年をとり大人になってみると冒頭でも書いたように見方が大分変ったようにも思います。
周囲の、生々しい色々なものが見えてきたからです。
仕事、家庭、社会的な地位、美しい二人の恋愛にはとてつもない犠牲が払われているのがわかってしまいました。
(そんなの関係ねえ!というのがある種命題にもなっているのかもしれませんが……)

主人公の家族がまるで会社に行ってくるかのような軽いノリで離散してしまうシーンは家族というコミュニティを持つ人なら辛さがわかると思います。

命が燃え尽きるほどの恋愛。そんな夢のような出来事が現実にあるのかは分かりませんが、実際にそんな奇跡が起きた時に、もしくはそんな夢物語が見たいときに、
幻想と現実を見ることができる素敵な作品だと思いました。

作品情報

製作年  :1997年
上映時間 :119分
製作国  :日本

監督  :森田芳光
原作  :渡辺淳一

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